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トップ / 目次 / 第一部 廃棄卵編

第20話 / 全149話

小さな一歩と新しい始まり

約6,558字

 翌朝。

 俺はギルドの仮眠室で目を覚ました。

 いや、目はない。

 毎回この説明をするのも面倒だが、ないものはない。

 それでも、意識が浮かび上がる感覚はある。

 昨日より、殻の中は静かだった。

 ロイムの魔力拘束具から吸い込んだ嫌なざわつきは、かなり薄れている。

 ひび周辺の熱も、ほとんどない。

 俺は自分だけに見える表示を確認した。

生命力3/3
魔力3/3
ひび割れ率42%
状態安定傾向
外部魔力残滓ほぼ沈静

 よし。

 安定傾向を維持。

 ひび割れ率は42%のまま。

 下がってはいない。

 そこは少し悲しい。

 だが、上がっていないなら今は勝ちだ。

 俺は小さく右へ揺れた。

 ミミルはベッドの上で、まだ眠っている。

 ちゃんと横になって寝ている。

 えらい。

 かなりえらい。

 机で突っ伏して寝ていないだけで、俺の中のミミル評価が上がる。

 いや、元から高いけど。

 しばらくして、ミミルが目を覚ました。

「……エッグ?」

 右。

 おはよう。

 ミミルはすぐ俺の殻を確認した。

「熱い?」

 左。

「痛い?」

 左。

「昨日より落ち着いてる?」

 右。

 落ち着いている。

 ミミルはほっと息を吐き、記録用の紙を引き寄せた。

『朝』

『熱感なし』

『痛みなし』

『震え安定』

『ひびからの光なし』

『安静継続』

 見えている範囲だけ。

 触れてわかる範囲だけ。

 いい記録だ。

 俺は右へ揺れた。

「記録、大丈夫?」

 右。

 ばっちり。

 ミミルは少し笑った。

「エッグ、記録係みたい」

 卵の記録係。

 意味がわからない。

 だが、情報管理は大事だ。

 俺のスキル名や内部表示を、外の人間が知っているような扱いにはしない。

 これは大切なことだ。

 朝食後、受付嬢が仮眠室へ来た。

「おはようございます。工房の仮修理が終わりました」

 ミミルがぱっと顔を上げる。

「本当ですか?」

「はい。扉は仮ですが閉まります。窓には封印札を追加しています。ただ、完全修理には数日かかります」

 数日。

 まあ、破られた扉が一晩で新品になるわけがない。

 異世界にも即日配送はないらしい。

 いや、あっても怖い。

 受付嬢は書類を一枚出した。

「修理費についてですが、襲撃被害としてギルド補助が一部出ます」

 ミミルは少し安心した顔をした。

 だが、受付嬢の表情はそこまで明るくない。

「ただし、全額ではありません。防犯補強や封印札の追加も含めると、ミミルさんの負担分も残ります」

 出た。

 金。

 どの世界でも現実は金で殴ってくる。

 ミミルの顔が少し曇る。

「どのくらいですか?」

 受付嬢は金額を書いた紙を差し出した。

 俺にはこの世界の金銭感覚がまだ完全にはわからない。

 だが、ミミルの顔色を見る限り、軽く払える額ではないらしい。

「……けっこう、しますね」

「はい。分割申請もできます」

 分割。

 ローン。

 異世界でも逃げられない言葉。

 俺は木箱の中で震えた。

 前世の記憶がうっすら痛い。

 ミミルは紙を見つめながら、小さく頷うなずいた。

「分割でお願いします。あと、低刺激回復薬の納品も……」

 俺は思わず震えた。

 ミミルがすぐに俺を見る。

「エッグ、大丈夫。無理には作らない」

 右。

 それならいい。

 受付嬢も真剣な顔で言った。

「納品は一日最大三本までです。それも、エッグさんの状態が良い日だけ。本人同意も必要です」

 右。

 わかっている。

 ただ、俺は少し迷った。

 低刺激回復薬は役に立つ。

 ミミルの収入にもなる。

 でも、俺の殻片が絡む。

 それがまた目立つ原因になる。

 自然に剥はがれた殻片だとしても、俺の体の一部だ。

 気軽に使うものではない。

 ミミルはその迷いを見たのか、そっと言った。

「今日は作らないよ」

 俺は右へ揺れた。

 それがいい。

「今日は、まず工房を片づける。それから、エッグの体に触らない方法で、できることを考える」

 俺の体に触らない方法。

 それはかなり大事だ。

 受付嬢も頷く。

「それがよいと思います。ギルドとしても、身体由来素材に頼りすぎる製法は推奨しません」

 身体由来素材に頼りすぎる。

 まさに問題点だ。

 俺が役に立つほど、俺の殻が狙われる。

 なら、俺を削らずに役立つ方法を探した方がいい。

 ミミルは俺の籠に保護対象の木札をつけ直し、工房へ戻る準備をした。

 ギルド職員が一人、同行してくれることになった。

 完全に護送される卵である。

 前世でこんな扱いを受けたことはない。

 社畜時代は、誰も俺を守ってくれなかったのに。

 卵になってから護送されるとは。

 人生、本当にわからない。

 工房へ戻る道は、大通りを使った。

 木札のせいで、かなり目立つ。

「ギルド保護対象だって」

「あの卵、やっぱり高いのか?」

「触るなって書いてあるぞ」

 見るな。

 いや、見るのはまだいい。

 触るな。

 絶対に触るな。

 俺は籠の中でじっとしていた。

 今は安静。

 目立たない。

 反応しない。

 それが一番。

 工房に着くと、扉は板で補強されていた。

 見た目はまだ痛々しい。

 だが、昨日よりはずっとましだ。

 窓には封印札が貼られ、簡単には開かないようになっている。

 床の粉や木片も、大まかには片づけられていた。

 それでも、襲撃の跡は残っている。

 机の傷。

 床の粘着樹脂の跡。

 割れた発光石の細かい欠片。

 扉の内側についた傷。

 ミミルは工房の入口で、しばらく黙っていた。

「……帰ってきた」

 右。

 帰ってきた。

 怖い場所になってしまった。

 でも、ここはミミルの工房だ。

 俺たちの拠点だ。

 逃げっぱなしにはしたくない。

 ギルド職員は扉や窓を確認し、昼過ぎまで外で待機してくれることになった。

 ミミルはまず、俺を机の上の安全な場所に置いた。

 保護対象の木札は籠につけたまま。

 俺自身は厚い布の上。

 周囲には落ちそうな物なし。

 よし。

 安全確認、大事。

 ミミルは部屋を見回し、大きく息を吸った。

「片づけよう」

 右。

 片づけよう。

 ただし、俺は動かない。

 今日は安静。

 ミミルが一人で片づけることになる。

 申し訳ない。

 だが、俺が転がって手伝うと、たぶん余計に散らかる。

 卵の片づけ能力は低い。

 ミミルは割れた瓶を拾い、粉が残った布を処分し、薬品棚の中身を確認していった。

 俺は見守る。

 たまに、危なそうな瓶がぐらつくと震える。

 ぶる。

「これ?」

 右。

 ミミルが瓶を奥へ押し込む。

 こういう補助ならできる。

 素材の気配を探る力も、今は使いすぎない範囲で役に立った。

 ただし、無理に集中しない。

《素材感知 Lv1》の使用を確認。
熟練度が微量上昇しました。
状態安定傾向を維持。

 よし。

 安定傾向は維持。

 無茶しなければ大丈夫そうだ。

 昼前には、工房はだいぶ片づいた。

 扉は仮修理。

 窓は封印札。

 机は傷だらけ。

 でも、作業はできる。

 ミミルは椅子に座り、修理費の紙をじっと見ていた。

「……稼がないと」

 その声が重い。

 俺は小さく震えた。

 無理するな。

 ミミルは俺を見る。

「わかってる。エッグを削って稼ぐのはしない」

 右。

 それは絶対。

「でも、何か作らないと、工房も続けられない」

 それも事実。

 金がないと生活できない。

 工房も直せない。

 薬品も買えない。

 俺は卵なので食費はかからない。

 だが、ミミルは人間だ。

 食べる。

 寝る。

 暮らす。

 そのためには収入がいる。

 ミミルはしばらく考えたあと、古い実験ノートを開いた。

「エッグの殻片を使わないで、できるもの……」

 ページをめくる。

「殻を守るもの」

 俺は震えた。

 殻を守るもの?

 ミミルは俺を見る。

「エッグ用じゃなくて、最初は普通の素材で試すよ。割れやすい瓶とか、卵殻とか、薄い陶器とか。衝撃を和らげる保護パテみたいなもの」

 保護パテ。

 それは良い。

 俺自身に塗るかどうかは別として、商品としては需要がありそうだ。

 冒険者の小瓶。

 薬師の薬瓶。

 錬金術師の道具。

 割れやすい物を守る素材。

 俺の殻片を使わないなら、リスクも少ない。

 俺は右へ揺れた。

 ミミルの顔が少し明るくなる。

「やってみる?」

 右。

 やってみよう。

 ただし、安全に。

 ミミルは頷き、材料を並べた。

 樹脂。

 乾燥草の繊維。

 砕いた安価な貝殻。

 薄めた補強剤。

 少量の粘着液。

 どれも、俺の体由来ではない。

 安心。

 非常に安心。

 まず、ミミルは小さな石に保護パテを塗った。

 乾かす。

 軽く叩く。

 石は無事。

「石は、まあ大丈夫だよね」

 そうだね。

 石はもともと強い。

 次に、薄い陶器片。

 保護パテを塗る。

 乾かす。

 木の棒で軽く叩く。

 ぱき。

 割れた。

「あっ」

 駄目だった。

 俺は左へ揺れた。

 ミミルも苦笑する。

「うん。これは失敗」

 記録に書く。

『試作一号』

『石には密着』

『薄い陶器には硬すぎる』

『衝撃で割れる』

『柔軟性不足』

 いい。

 失敗記録は大事。

 次に、粘着液を増やした二号。

 陶器には少しまし。

 だが、乾いたあとべたつく。

 触ると指にくっつく。

「これは商品にはできないね」

 右。

 できない。

 ここは右でいい。

 商品にはできない、に対する肯定だ。

 冒険者の道具袋が地獄になる。

 三号は乾燥草の繊維を増やした。

 今度は柔らかい。

 だが、剥がれやすい。

 軽くこすっただけで端が浮いた。

 左。

 駄目。

 ミミルは唸うなる。

「難しいなあ」

 でも、悪くない。

 安全な試行錯誤だ。

 誰も傷つかない。

 俺の殻も削られない。

 爆発もしない。

 今のところ。

 それだけでかなり良い。

 ミミルは四号を作った。

 貝殻粉を減らし、樹脂を増やし、繊維を短く刻む。

 さらに、低刺激回復薬を作る時に使う安定手順を少しだけ応用する。

 もちろん、俺の殻片は使わない。

 混ぜる時の温度と順番を変えるだけだ。

 四号を薄い鳥卵殻に塗る。

 乾かす。

 軽く叩く。

 こん。

 割れない。

 もう少し強く。

 こん。

 ひびは入ったが、ばらばらには砕けなかった。

 ミミルの目が輝いた。

「できた……かも」

 俺は右へ揺れた。

 かも。

 まだ商品には早い。

 だが、方向性は良い。

 ミミルもすぐに浮かれすぎず、記録に書く。

『試作四号』

『鳥卵殻に密着』

『軽い衝撃を分散』

『強い衝撃ではひび』

『剥がれにくい』

『乾燥時間やや長い』

『本体使用不可。まず物品で検証』

 本体使用不可。

 大事。

 俺にいきなり塗らない。

 それが大事。

 俺は右へ強く揺れたかったが、安静中なので小さく揺れた。

 ミミルは笑う。

「エッグにはまだ塗らないよ。状態が落ち着いてから、鑑定士さんにも相談してから」

 右。

 その慎重さ、百点。

 夕方、受付嬢が様子を見に来た。

 ミミルは保護パテ四号の試験片を見せる。

「エッグの殻片は使っていません。普通の材料だけです」

 最初にそこを言うのが良い。

 受付嬢も安心したように頷く。

「それなら記録上も問題ありません。販売するなら、まずギルドの道具担当に試験してもらう形がよいですね」

 販売。

 いきなり売るのは怖いが、試験ならありかもしれない。

 受付嬢は鳥卵殻の試験片を見た。

「割れ物の保護材としてなら、需要はあるかもしれません。薬瓶を持ち歩く冒険者や、採取者には便利です」

 ミミルの表情が明るくなった。

「本当ですか?」

「ただし、品質が安定してからです。あと、エッグさんの名前を出して売るのは避けた方がいいです」

 右。

 それ。

 非常に大事。

 卵印の保護パテとか絶対やめてほしい。

 目立ちすぎる。

 受付嬢は続ける。

「ミミルさんの工房試作品として、まずはギルド内部で少数試験。それが安全です」

 ミミルは何度も頷いた。

「はい。そうします」

 俺も右へ揺れた。

 安全第一。

 目立たない。

 小さく稼ぐ。

 今はそれでいい。

 受付嬢は俺の状態も確認した。

「エッグさん、今日はどうですか?」

 俺は右へ小さく揺れた。

 悪くない。

 ミミルが記録を見せる。

「熱はなくて、震えも安定しています。作業中も無理な動きはしていません」

「よかったです。ですが、今日も無理はしないでください」

 右。

 もちろん。

 今日はもう疲れた。

 何もしていないようで、精神的にはかなり疲れた。

 夜。

 ミミルは工房ではなく、もう一度ギルドの仮眠室に泊まることになった。

 扉の完全修理がまだだからだ。

 保護パテ四号の試験片と、最低限の記録だけを持って、ギルドへ戻る。

 工房には職員がついてくれる。

 ありがたい。

 仮眠室に戻ると、ミミルは机に試験片を並べた。

「エッグの殻片を使わなくても、できることあるね」

 右。

 ある。

 それは、今日一番の収穫だった。

 俺の体を削らなくても、ミミルは作れる。

 役に立てる。

 稼げる可能性がある。

 それがわかっただけで、少し心が軽くなった。

 ミミルは俺の横に座り、ぽつりと言った。

「私、エッグの殻片がすごかったから、それに頼りすぎてたのかも」

 俺は動かなかった。

「もちろん、勝手に使うつもりはなかったよ。でも、あれがあれば良い薬ができるって思ってた」

 それは責めることではない。

 ミミルは俺を素材扱いしたわけではない。

 でも、俺の殻片が特別な結果を出したのも事実だ。

 頼りたくなる気持ちはわかる。

 ミミルは俺の殻に触れない距離で、手を止めた。

「でも、エッグが傷つくなら意味ない」

 右。

 そう。

「エッグを削らないで、エッグと一緒に考える」

 右。

 それがいい。

 ミミルは少し笑った。

「卵殻錬金術って名前、ちょっと変えた方がいいかな」

 右。

 変えた方がいい。

 卵殻錬金術だと、どうしても俺の殻を使う感じが強い。

 俺の殻片が特別だと知られれば、また変な奴が寄ってくるかもしれない。

 名前は大事だ。

 前世でも、やたら意識高い横文字のプロジェクト名は、だいたい中身が炎上していた。

 いや、今それは関係ない。

 ミミルは俺の反応を見て、少し考え込んだ。

「やっぱり変えた方がいいよね。エッグの殻を使ってるって思われたら困るし」

 右。

 その通り。

「じゃあ……割れ物保護材研究?」

 右。

 地味。

 すごく地味。

 でも安全。

 今はその地味さがいい。

 ミミルは記録の表紙に、小さく書いた。

『割れ物保護材研究』

『エッグ由来素材は使用しない』

『普通素材による衝撃緩和材の試作』

 完璧。

 俺は右へ揺れた。

 ミミルも満足そうに頷く。

「これなら、エッグが目立ちにくいよね」

 右。

 かなり大事。

 俺はもう、廃棄推奨から保護対象まで肩書きが変わりすぎている。

 これ以上、変な名前で注目を集めたくない。

 卵印の保護パテ。

 竜血殻の秘薬。

 奇跡の卵殻錬金術。

 そういう方向に行ったら終わりだ。

 絶対に終わりだ。

 地味でいい。

 むしろ地味がいい。

 割れ物保護材研究。

 なんて平和な響きだろう。

 俺はしみじみ震えた。

「エッグ、安心してる?」

 右。

 安心している。

「そっか」

 ミミルは少し嬉しそうに笑い、試験片を布の上に並べ直した。

「じゃあ、明日はこれをギルドの道具担当さんに見てもらおう。売るとかじゃなくて、まず安全に使えるかだけ」

 右。

 それがいい。

 いきなり販売は危ない。

 まずは試験。

 少量。

 ギルド内部。

 エッグの名前は出さない。

 安全確認。

 この流れが一番いい。

 ミミルは記録にさらに追記した。

『販売前にギルド道具担当へ相談』

『少数試験』

『製作者名はミミル工房』

『エッグの名前は出さない』

『本体使用不可』

 本体使用不可。

 重要すぎる。

 俺は右へ強く揺れたかったが、安静中なので小さく揺れた。

 ミミルは笑う。

「そこ、すごく大事だよね」

 右。

 とても。

 俺を実験台にするのは後回し。

 いや、後回しというか、できればずっとしないでほしい。

 どうしても必要な場合は、鑑定士に相談して、状態が安定していて、薄く少量で、安全確認してから。

 それくらい慎重でいい。

 卵は割れたら終わりなのだ。

 その夜、俺はステータスを確認した。

生命力3/3
魔力3/3
ひび割れ率42%
状態安定傾向を維持。
《魔力安定・未獲得》への適性を確認。
《素材感知 Lv1》の熟練度が微量上昇しました。
《殻硬化 Lv1》の維持感覚が安定しました。

 魔力安定。

 未獲得。

 また新しい予兆が出た。

 おそらく、薄い安定剤や不安定魔力の沈静と関係しているのだろう。

 まだ手に入ってはいない。

 でも、適性はある。

 悪くない。

 今すぐ強くなる必要はない。

 今は、割れないこと。

 安定すること。

 その積み重ねが、いつか力になる。

 ミミルは試験片を眺めながら、うとうとしていた。

 俺は小さく震えた。

 ぶる。

「……寝る。ちゃんと寝る」

 よし。

 言う前にわかった。

 成長している。

 ミミルは布団に入り、すぐに寝息を立て始めた。

 工房はまだ完全には直っていない。

 修理費も残っている。

 ロイムも捕まっていない。

 低刺激回復薬の納品も、慎重にしなければならない。

 問題は山積みだ。

 だが、今日は一つだけ前に進んだ。

 俺を削らなくても、ミミルは作れる。

 俺も、壊れずに一緒に考えられる。

 廃棄推奨の卵と、落ちこぼれの見習い錬金術師。

 その二人で、割れ物を守る保護材を作る。

 なんだか少し、俺たちらしい。

 俺は布の上で、静かに震えを止めた。